サンスカイ ホテル小倉のスタッフブログ

1月17日

本日、1月17日は今月今夜の月の日です。
尾崎紅葉の『金色夜叉』の中で、主人公の貫一が熱海の海岸で貫一を裏切った恋人のお宮に「いいか、宮さん、一月の十七日だ。来年の今月今夜になつたらば、僕の涙で必ず月は曇らせて見せるから」と言い放ったことが所以です。
この日の夜が曇り空になることを「貫一曇り」と言われております。
こたつの中でお鍋を食べるのが楽しみな季節がやってきました。お酒も一緒に味わうとより一層美味しく戴ける素晴らしい季節です。インドアにぬくぬくと過ごしたいところ。
氷点下が続いた早すぎる大寒も越え随分と天気も落ち着いてきましたね。最近は読書をしようにも室内でも指先が冷えてままならなかった為、ページを捲る手が捗るようになり嬉々としております。
さて、皆様は『金色夜叉』をご存じでしょうか。尾崎紅葉の名作かつ有名なタイトルのひとつで一言で説明するなら金と愛に狂わされた男を描いた小説です。しかし書かれていた当初は明治30年。かれこれ100年も前。文体も古ければ時代背景も当初のものなので分かりづらい部分が多いので、初めて読むという方は是非とも現代語訳で解説付きのものを。以前、読書家だとおっしゃられる方が原理主義を唱え原文を原文のまま読むことが絶対だという考えで、個人的に相入れないと感じたことをふと思い出しました。本はちゃんと読めてこそ本ですからね。肌に合わないなら読まない、というのも手かと。
この『金色夜叉』も恋愛至上主義で惚れた腫れたを重く捉えており、今の時世の感覚とは大幅に乖離していると言えるでしょう。多くの作家が既に説いておりますが、書かれていた時代の雰囲気も含めて楽しんで頂ければ読める本が増える上、見える世界も広がります。そのきっかけのひとつとして尾崎紅葉の小説があったらなと思うばかりでございます。中でも『金色夜叉』は金と愛のどちらを取るか、という現代にも繋がる命題が敷かれている大衆文学です。是非是非ご覧になってみてくださいませ。
今晩の福岡及び舞台となった熱海の天気は晴れ。貫一曇りのような空にならなかったのは幸か不幸か。地域によっては雪もちらつく今日この頃。暦の上では未だ酷寒のみぎり。油断しているところに訪れるのが悪天というもの。足先まできっちり防寒して来る春を待つことにいたしましょう。ではでは、この辺で。

掲載日:2021-01-17





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